ホレンコの友 2021年3号

                「黙想:水のほとりに植えられた木」

             日本聖公会 北海道教区司祭聖マーガレット教会・岩見沢聖十字教会 池田亨

 もし「あなたにとって春をもっとも感じさせる植物は何ですか?」と問われるならば、わたしは「ヤナギ」と即答します。桜の花でも、梅の花でもなく、何といっても、早春を告げる、芽吹くヤナギです。
 北大南門に隣接する私共の主教座聖堂・札幌キリスト教会に勤務していたとき、北大構内を流れる小川、サクシュコトニ川のほとりのシダレヤナギの芽吹きの美しさに目を奪われたことがあります。どの木々よりも、早く芽吹き、春を告げていました。天から流れ降るような芽吹きの枝は春の陽に照らされて瑞々しく淡く黄緑色に光っていました。それ以来、毎春、待ちに待っている光景なのです。
 わたしの所属する日本聖公会北海道教区は、毎年、宣教のための聖句を選びます。この2021年は「祝福されよ、主に信頼する者は。」(エレミヤ17:7a)が選ばれました。この聖句に続く御言葉は次のように記されます。
「主がその人のよりどころとなられる。彼は水のほとりに植えられた木。水路のほとりに根を張り 暑さが襲うことを見ることなく その葉は青々している。干ばつの年にも憂いがなく 実を結ぶことをやめない。」(エレミヤ17:7b-8)
エレミヤは、水のほとりに植えられた木(おそらくナツメヤシ)にたとえて、主に信頼する者への祝福を記します。
 よく北大の構内を散策し、北大のシダレヤナギを見るにつけ、このイメージを想起します。ヤナギは春一番に芽吹きます。そして、水のほとりにあるゆえ、夏の日照りにも生き生きしています。晩秋、他の落葉樹が葉を落しても、なお、雪が降るまで葉は緑を保つのです。実に生命力あふれる樹木です。かつて、台風で北大のエゾヤマザクラの大木が倒れたことがありました。しかし、シダレヤナギは、しなやかに強風をかわしていたのでした。柔軟性を感じさせます。ヤナギから信仰的な気づきを与えられるのでした。

 わたしたちは、東日本大震災から10年、その追悼の記念日を迎えます。そこから何を学び、変えられたのか、自問します。
そして、コロナ禍の渦中、なかなか出口が見えないトンネルのような中で…。あたかも「干ばつの年」のさなかで。
 しかし、にもかかわらず主によって保たれている恵みと希望を憶えたいのです。なおも、主に信頼する者へと導かれたいのです。水のほとりに植えられた木のように。 (ホレンコ幹事)

 

 

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